少額訴訟のメリットとデメリットを徹底解説!少額訴訟の流れ

公開日: 2024.03.12

お金のトラブルは誰にでも起こり得ますが、裁判に訴えるほどでもない、しかし放置できない紛争を迅速かつ低コストで解決する方法に、少額訴訟があります。

本記事は、その利点と欠点、さらに流れについて詳しく解説します。少額訴訟とは、簡明なトラブル解決のための手続き――「費用が安く」、「1日で解決する」場合もある一方で、「控訴ができない」、「事前準備が重要」といった特徴があります。それでは、少額訴訟のメリットとデメリットを徹底解説し、そのプロセスを追っていきましょう。

初回相談30分無料

無料相談
ご予約はこちら

【電話相談受付中】

受付時間 9:00〜22:00

【来所不要・年中無休】

電話・LINE・ウェブでの相談可能です
1人で悩まずに弁護士に相談ください

少額訴訟とは何か?

少額訴訟とは、金銭トラブルなどの民事紛争を迅速に解決するための裁判手続です。簡易裁判所が管轄し、60万円以下の金銭の支払いを求める請求が対象となります。

この手続きの特徴は、迅速且つ手軽に紛争を解決できること、また費用が比較的低額であることです。

少額訴訟を利用するケース

少額訴訟が活用されるのは多種多様な金銭トラブルの場合が多いです。これらの事例は簡易裁判所における少額訴訟によって比較的迅速に解決を図ることが可能となります。

売掛金の未払い
・少額の貸付金の回収
・ホテルの宿泊代金
・飲食料金の不払い
・交通事故の損害賠償請求
・労働契約に基づく未払賃金の請求

少額訴訟を利用できないケース

少額訴訟の手続きは利用できるケースが限られていることも事実です。

動産の返還請求や土地・建物の明渡請求は、金銭請求ではないため、少額訴訟の対象にはなりません。たとえ対象物の金額が少額であっても、金銭の支払いを求める請求ではない以上、少額訴訟を利用することはできません。

また、金銭請求であっても、請求額が60万円を超える場合には、少額訴訟を利用できません。

これらのケースでは通常の民事訴訟手続きを取らなければなりません。

スマート顧問

少額訴訟のメリットは?

少額訴訟は、小規模の金銭トラブルに対して、迅速かつ簡易に解決を図る制度であり、多くの利点を備えています。

1日で解決する

少額訴訟の大きなメリットは、審理の迅速さにあります。

通常の訴訟では、1年以上の期間を要するのが一般的ですが、少額訴訟ならば、原則として1日で終結します。当事者は1回の期日で必要な主張や証拠の提出を終え、その場で即日判決を受けることになります。

トラブルが長引く精神的なストレスからも早期に解放されるため、通常の訴訟と比べると大きな利点といえます。

費用が安い

少額訴訟の利点となるのがその低コストです。少額訴訟では、収入印紙や郵便切手などの経費が比較的少額で済むのが通常でしょう。具体的には、収入印紙の費用は1000円から6000円程度、郵便切手も同様に約6000円程度が目安となります。

また、裁判期日も原則として一回で済むため、裁判所に出向く交通費も抑えることができます。

弁護士に依頼する必要がない

少額訴訟は、迅速で簡易な手続きですので、弁護士や司法書士に依頼せずに進めることもできます。特に訴状の書式を利用すれば、専門家でなくても訴状を作成することができます。そのため、弁護士費用などの経済的な負担も避けることができます。

多くの費用が必要となる通常の訴訟に躊躇している方にとっても、少額訴訟は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

LINEで法律相談 こちらから友達追加
クレジットカード利用可能

少額訴訟のデメリットとは?

少額訴訟は訴訟費用が抑えられる、迅速な解決が期待できるなどのメリットがありますが、デメリットも存在します。少額訴訟のデメリットも十分に理解しながら、少額訴訟を選択するべきか検討しましょう。

通常訴訟に移行されることがある

少額訴訟では、原告がスピーディに解決を目指しても、被告が裁判所に対して、通常訴訟に移行することを求めることで、通常訴訟に手続きが移ってしまいます。被告は、第1回の口頭弁論において弁論するまでに通常訴訟への移行を求めることができます。

通常訴訟に移行することは、原告にとって予期せぬ紛争の長期化を意味します。また、移行された場合、追加の費用負担や手間が発生する恐れもあり、これらは少額訴訟を選択した際のリスクと言えるでしょう。

控訴ができない

少額訴訟では、控訴することができません。

少額訴訟の判決に対しては、判決を受け取った日から2週間以内に判決をした裁判所に対する異議申立てが認められています。

しかし、地方裁判所に対する控訴をすることができないため、判決内容に不服があっても再度争うことができません。

事前準備を十分にする必要がある

少額訴訟では、第1回の口頭弁論期日までに証拠を揃えて提出しなければなりません。初回の期日までに請求の根拠となる事実関係を証明できなければ請求が棄却されるリスクがあります。そのため、少額訴訟では、十分に証拠を揃えて事実関係の証明を初回期日までに行わなければなりません。証明が困難な複雑な事案であれば、たとえ少額であっても少額訴訟はなじまないといえます。

分割払い、支払い猶予、遅延損害金の免除

裁判所の裁量により、分割払い、支払いを一定期間猶予する、遅延損害金を免除する判決が出ることもあります。

たとえ原告の言い分が認められて、その請求が認容されても、被告の資力や収入状況によっては、そのまま判決を出すことが事案の解決につながるとも言い切れません。

例えば、1か月1万円の分割払いや3年間は支払いを猶予するなどです。

所在が分からないと利用できない

被告の所在が分からない場合には、少額訴訟は利用できません。

自宅住所が分からなくても、勤務先が分かれば就業場所への送達することが認められています。しかし、就業場所さえ分からない場合には、少額訴訟を利用できません。通常の訴訟では、所在不明の場合の送達方法(公示送達)を利用することができますが、少額訴訟では利用することができません。

回数制限がある(1年間に10回まで)

少額訴訟は、1年間に10回までという利用が可能な回数に制限があります。これは、同一の当事者が繰り返し少額訴訟を利用することを防止し、簡易裁判所の過度な負担を避けるための制度です。

少額訴訟の流れ

少額訴訟の流れは、通常の民事訴訟に比べて迅速かつ簡易な手続きを特徴としています。少額訴訟の基本的な流れを理解することで、少額訴訟を有効活用することができるでしょう。

訴状の作成

訴訟を開始するためには、まず訴状を作成し、簡易裁判所に提出する必要があります。少額訴訟であっても、訴状の作成は欠くことができません。ただし、他の民事訴訟と異なり、少額訴訟専用の定型訴状用紙が簡易裁判所に用意されているため、原告はその用紙を用いて必要事項を記入することで訴状を容易に作成できます。

参考)裁判所の訴状書式集

証拠の準備

訴状の提出に続いて、原告は主張を裏付けるための証拠を準備し、初回期日までに提出できるようにしておかなければなりません。

契約書、領収証、メールのやり取り、写真など、各種の証拠を確保して、これを速やかに提出することが必要です。

訴訟の提起

簡易裁判所において正式に訴訟が提起されます。訴訟を提起すると、裁判所ら初回期日を指定した上で、被告に対して訴状の副本を送付します。

被告は訴状などを受け取った後、一定の期間内に答弁書を提出しなければなりません。

裁判期日

原告と被告は指定された第1回口頭弁論期日に出席します。少額訴訟では、法廷ではなくラウンドテーブル法廷で開廷されます。原告と被告は、裁判官を中心にラウンドテーブルを囲う形で着席し、リラックスした雰囲気で審理を行います。

判決の言い渡し

口頭弁論が終結すると、少額訴訟では一般的にその場で判決が言い渡されます。この迅速な判決は少額訴訟の大きな特徴の一つです。ただ、判決の言い渡しの前に、裁判官から和解の提案が行われるのが一般的です。和解の提案を受けても、当事者間で合意ができない場合には、判決の言い渡しがなされます。

異議申し立て(2週間以内)

少額訴訟において判決が言い渡された後、不服がある場合には、判決書の送達を受けた日から2週間以内に異議を申し立てることができます。異議申立てをすることで、判決を言い渡した裁判所において、通常の訴訟手続きにより、審理を続けることになります。

強制執行

判決が確定すると、被告の預貯金や給与などの財産を差し押さえることができます。

判決の言い渡しがあっても、被告が判決に従わない場合には、強制執行を行い強制的に債権回収を行うしかありません。

少額訴訟の差押手続きは、執行文や送達証明書などの必要書類を準備した上で、簡易裁判所に提出することで着手することができます。

債権回収の問題は弁護士に相談を

債権回収は、債務者に対する請求から回収までの一連のプロセスを経る必要があります。特に、訴訟提起をした上で、請求を認める判決が出されても当然に債権の回収が実現できるわけではありません。債務者が判決に従って自発的に支払いをすることはむしろ珍しいです。

債権者側が、債務者の財産を調査して債権の回収ができる債務者の財産を特定できるかが肝心です。

債権回収でお悩みであれば弁護士に相談してみましょう。初回相談30分を無料で実施しています。

面談方法は、ご来所、zoom等、お電話による方法でお受けしています。お気軽にご相談ください。対応地域は、大阪難波(なんば)、大阪市、大阪府全域、奈良県、和歌山県、その他関西エリアとなっています。