個人再生をするにしても、自宅を残した方が得な事も多々ある!
債務整理の方法の中で、借金の大幅な減額をして、なおかつ今住んでいる家を手放さなくても良い、という方法があります。
それが個人再生を利用し、その際に住宅ローン特則というものをつける事です。
この住宅ローン特則は、正式には「住宅資金特別条項」と呼ばれていますが、便宜上、住宅ローン特則と言われています。
債務整理をすると、借金が無くなる為、その後の生活の立て直しは、簡単だろうと考えられがちです。
しかし、実際には債務整理をしても、住み慣れていた家を手放した事により、慣れない環境で生活をスタートする事になり、余計な出費がかさんで生活が苦しくなった、という例がよくあります。
債務整理についての知識がある弁護士が、自己破産を最初の選択肢として勧めない事が多い理由は、そこにあります。
借金を滞納して、返済の見通しが無いという事で、自己破産を選択してしまうと、家まで取り上げられる事になってしまいます。
したがって、債務整理を行うにしても、基本的にはなるべく家を手放さなくて済む方法を、選んだ方が良いでしょう。
ただし、住宅ローンの支払いによって、家計が圧迫されており、それが債務整理に至った大きな要因になっていると考えられる場合は、この限りではありません。
この場合は、住宅を手放す事により、逆に家計が健全化される事も考えられます。
どのような考え方で、個人再生をはじめとした債務整理を行っていくかという事については、最初は弁護士に相談してみるのが良いでしょう。
なお弁護士でも、債務整理を専門で扱っている弁護士に相談した方が、より的確なアドバイスを受けられる可能性が、高くなります。
加えて、債務整理を行う際は、払いすぎた利息を返還してもらえる、過払い金請求の利用も併せて、検討していくのが良いでしょう。
個人再生の住宅ローン特則を、利用する為の条件
さて、個人再生の住宅ローン特則についてですが、この住宅ローン特則をつける為には、さまざまな条件があります。
まず前提として、個人再生を適用する為の条件である「負債総額5,000万円以内」、「破産の可能性が高い」、「継続的に収入を得られる見込みが高い」といった事は、満たしている必要があります。
その上で、住宅ローン特則をつける為には、4つの条件を満たす必要があります。
それが、下記の4条件になります。
- 債務者の住宅である事
- 住宅資金貸付債権である事
- 住宅ローン以外の、抵当権がついていない事
- 代位弁済から、6か月以上経過していない事
それぞれの条件について、細かくみていきます。
債務者の住宅である事
まず、住宅ローン特則の対象になる住宅は、自分自身が実際に居住している住居である、必要があります。
したがって、会社のオフィスとして使っている、ビル・賃貸用の物件といったようなものは、対象にはなりません。
住宅資金貸付債権である事
住宅資金貸付債権というのは「住宅の建設・購入・改良の為の貸付金債権で、分割払いの定めのあるもの」とされています。
つまり、一般的には住宅ローンの事を指します。
したがって、住宅ローンを完済している持ち家などは、この住宅ローン特則の対象にはなりません。
住宅ローン以外の、抵当権がついていない事
住宅ローンを利用している場合、その住宅にはローンの借入先の銀行や、保証会社からの抵当権がついていると思います。
抵当権というのは、住宅ローンの利用者が住宅ローンを支払えなくなった場合、銀行や保証会社がその住宅をもらいうける事が出来る、という権利になります。
ただ、抵当権というのは、複数設定することが出来ます。
その為、銀行や保証会社以外の誰かの抵当権も、その住宅についているならば、この住宅は住宅ローン特則の対象には出来ません。
代理弁済から、6か月以上経過していない事
住宅ローンを滞納してしまった場合、保証会社が代わりにその住宅ローンを、支払う場合があります。
この保証会社の住宅ローンの支払いから、6か月以上経過してしまうと、住宅ローン特則の対象にはならなくなります。